放課後(東野圭吾)
【100字】
――自殺か他殺か。
死体が発見されたのは密室だった。
女子高×部活ミステリ。
問題児や生徒の誘惑に翻弄されながら真実に迫っていく。
冒頭から命を狙われる波乱の展開に目が離せない。
なんどもダマされる構成は秀逸。
【読みやすさ】
ライト級
【感 想】
いわずとも知れた有名作家・東野圭吾のデビュー作。
第31回江戸川乱歩賞の受賞作です。
あらすじは以下のとおり。
冒頭から前島が命を狙われる波乱の展開で、すんなり物語のなかに入り込んでいけました。
この本でなにが一番良かったかというと、登場人物の女子高生たちです。
魅力的な個性をもった生徒がたくさん出てきますが、
ツートップは高原陽子と杉田恵子です。
陽子は大胆にも前島先生を二人きりの旅行に誘ったことがあります。しかし、通称マシンと呼ばれるほどの堅物先生は、それを断ってしまいます。
その出来事がきっかけでふて腐れたのか、陽子はクラスで問題児という扱いになっていきます。不良グループとのつながりや授業態度が悪いなど、生徒指導部のお世話になっている陽子は、その指導部・村橋の死をきっかけに犯人として疑われる存在となります。
陽子ちゃんは後半になるにつれ、彼女の本心が見え隠れしていきます。まだ大人になりきらない少女の部分と大人な女性としての部分。淡い恋心を感じて、学生だったころを追憶してしまいました。
恵子は、前島先生が顧問を務めるアーチェリー部のキャプテンです。パーマや化粧に興味をもつなど大人の女性に変身しつつある三年生。
彼女もおませさんで、運動部の合宿時に前島先生とふたりきりになりキスしてしまうのです。
ねえ、奥さんのこと心配?
寂しくはないけど疼いている?
読んでるとき、ドキッとさせられるような台詞が続いていきます。
作中、前島先生と同様に村橋の死の第一発見者となり、事件に大きく関わっていきます。
こんなふたりを筆頭とした女子高生達に囲まれた前島先生は、翻弄されっぱなしです。
大きな謎は、3つあります。
1つ目は、前島先生の命を狙っている正体。
2つ目は、村橋の死。
3つ目は、2人目の死。
とくに村橋の死については、密室トリックを解決しなくてはなりません。
天井付近だけ女子更衣室とつながっている男子更衣室で死んでいた村橋。男子更衣室には、心張り棒がしてあり外からかけることは不可能と推理されます。女子更衣室から乗り越えてくることもできますが、当時は施錠されており出入りできないため、完全な密室となっていました。
なんか簡単に解けそうだ。
そう思って考えましたが、私はこのトリックに気づくことができませんでした。
わかってしまえば、そうだったのか!と、ある種の快感になります。
この本のすばらしいところが、解決できた!っと思ったけれども実は……。という構成がいくつかでてくるところです。
私もなんどもダマされました。
購入してから少なくとも10回以上は読み返しています。
ミステリはトリックと登場人物のキャラクター性どちらが欠けても味気ないものになってしまいますが、「放課後」はどちらも素晴らしく読みやすい文章でおすすめの本になっています。
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